2015-04

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daily stye 大壺から思うこと

長い間、僕は骨董品にひかれていた。夢中だったと言ってもいい時期もあった。今も関心はあるが、あの情熱はもうない。
同好の士には、よく贋物をつかまされたとかの類の話を聞くが、僕は今までそんな事がなかった。
それは先達のおかげが大きかったと思う。先達の方々に守っていただき、教えて頂いたのだと今も感謝している。

DSCN1312.jpg


その当時、僕をよくかわいがってくださるご夫婦がおられ、お二人は、油絵、日本画、お茶、陶芸、民芸、料理そして骨董ととにかく知識が豊富で、しかも資力も大きかった。僕はお二人の爪のアカを煎じて飲む立場でしかなかったが、そんな僕が唯一、講釈口をたたけたのは酒の話だった。お二人はほどんど飲まなかったと言うか体が受け付けなかった。


そんな酒だけの僕がお二人を最初にうらやましがらせたのがこの壺だった。お二人は壺を見てなにかと時代を推測してくださったが、自分では検討もつかない僕はただニヤニヤと笑うしかなかった。なにせ、骨董屋の主人が越前とまでは言ったが、あとは濁して言わなかった。判りにくいもの、越前は。値引きを頼むと思わぬほど引いてくれたものだ。
まぁ初心者の自分が買った壺を先達のお二人が気に入ってくれたので、ホッとしたことを覚えている。
お二人の先達は残念なことに亡くなられたけれど、今でもこの壺は僕の家の玄関の隅に据わっている。鎮座していると言う方がいいかもしれない。内に那智黒を入れて傘立てにしている。那智黒は傘の石突きから底を保護するためだ。寸法的には直径55cmの高さ60cm、まぁ大物の端くれの壺だ。

DSCN1313.jpg

ところで、初心者に先達がつくかつかないかは、この世界では大変重要だ。
よく骨董者の主人が先達を買って出てくれる場合があるが、まぁこれは赤ずきんちゃんに類する話もよく聞くし・・・

その類の数ある人門書は「初心者であってもあなたの気に入ったものを買いなさい。恐れず、あなたの感性を信じて・・・」と書いてある。

実はこれがウソ。まったくのウソです!

いい風に見える物は非常に多くて浜の宮海水浴場の砂の如くあるけれど、いい物は指でつまむ如く少ない。
自分では何処がいいのか解らないが、周りの先達の方々が進めるから仕方なく買った物が、毎日眺めて手に取っていると、その良さがだんだん解ってきて、最後にはほおずりするようになる。そんなもんです。この世界は。


別に自分が気に入った物を自身が満足しているならいいんじゃないという考え方があるが、生きている限り、いろんな情報が入ってきて、いつかは自分の満足度も揺らいでくる。何事も独りよがりは避けた方が良い。
骨董に興味がおありなら先ず良き先達を見つけること。その先達がほかの良き先達を呼んで、あなたの世界が広がるきっかけを作ってくれる。

でもこれって、人生すべてにあてはまると思いませんか。
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